CT画像には種々の体組成データが含まれるが、日常診療で活用されているものはごく一部である。米ウィスコンシン大学マディソン校のチームは、AIアプローチにより、腹部CTに基づく体組成データからその後10年間の疾病リスクを予測する研究を行い、その成果を公表した。
Radiology誌に掲載された研究報告では、腹部CTから体組成(脂肪・筋肉・大動脈石灰化)を自動判定するAIツールを開発している。次に、それら体組成データからその後10年間の心血管イベント、死亡、脆弱性骨折(骨粗鬆症に由来し日常の軽負荷で生じる骨折)を予測するために有用となる男女別の「しきい値(閾値)」を導き出した。また、死亡リスクマーカーとして予測性能が高いものは、男性では「筋肉量の減少」、女性では「大動脈石灰化」であることを示している。
著者らは本研究の結果から、腹部CTの体組成データと男女別のしきい値を、死亡・心血管イベント・脆弱性骨折リスクの予測に臨床適用できる可能性を主張する。近年では、加齢による筋肉量減少と筋力低下を示す「サルコペニア」が注目され、健康寿命との重要な関係が議論されるなか、CT画像がもつ精緻で豊富な体組成データはさらにその価値を高めようとしている。
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