日常診療の現場では、未診断の認知症患者が数多く潜在している。その理由には、プライマリケア医と患者の接点に限りがあることや、認知症診断への社会的偏見も根強いこと、早期診断のメリットが周知されていないことなどが挙げられる。米レーゲンストリーフ研究所のチームは、プライマリケアの実環境で認知症患者を検出するAIツールの検証を進めている。
Trialsに掲載されたプロトコル論文では、自然言語処理を用いて電子カルテから抽出したデータ(記憶に関する問題、血管系障害、併存疾患など)を組み合わせ、軽度認知障害やアルツハイマー病を検出するAIツールに対する検証計画を示している。2023年初頭から開始する新たな試験では、65歳以上で、過去3年間の電子カルテデータを有し、1年以内に1回以上プライマリケア診療所を訪れたことのある7,200名の住民が登録される。
研究を率いるMalaz Boustani氏は「米国では、認知症患者の50-80%が臨床環境において認識されておらず、軽度認知障害までを含めると80%以上が認識されていない可能性もある」とした上で、早期診断と適切な医療介入によって、認知予後の改善、医療コストの削減などにつなげられる事実を強調する。
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