AIアシスタントを医療現場のサポートツールとして活用が進められる一方、市民の健康に関する疑問にどの程度対応できるのかについて、依然として多くの課題が残されている。米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、公衆衛生に関する一般市民からの質問に対するChatGPTの回答能力を評価する研究を行った。
JAMA Network Openに発表された同研究では、ChatGPTに対し、依存症・対人暴力・メンタルヘルス・身体的健康という4つの公衆衛生カテゴリに分けられる23の質問を投げかけ、回答を評価した。その結果、ChatGPTは提出された23の質問全てに対し適切に認識して回答することができ、そのうち21の回答(約91%)は科学的根拠に基づいていると評価された。ただし、問題解決に必要なリソース(支援団体やホットラインなど)を紹介できたのは23問中わずか5問(約22%)であり、提供される情報は主にアドバイスの形であった。また、既存のAIアシスタント(Amazon Alexa、Apple Siri、Google Assistant、Microsoft Cortana、Samsung Bixby)と比較して、ChatGPTのパフォーマンスが有意に優れていることも示された。
本論文では「AIアシスタントが市民に対してより実用的な情報、例えばリソース紹介などを提供するには、公衆衛生機関とAI企業が連携し、リソース提供を促進するべき」との提案がなされている。著者であるJohn W. Ayers博士は、「健康情報を求めてAIに目を向ける人々を、訓練を受けた専門家に繋げることは、AIシステムの重要な要件であるべきだ。それが実現すれば公衆衛生の成果は大幅に改善するだろう」と語っている。
参照論文:
Evaluating Artificial Intelligence Responses to Public Health Questions
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