AIによる音声アシスタントは一般的になっており、現在、米国成人の半数が利用しているという。特に医療ニーズへの対応と利用も進んでいることから、「緊急時に心肺蘇生(CPR)の指示を与える新しい方法」としての検討が進もうとしている。
米アルバート・アインシュタイン医科大学やボストン小児病院の研究者らは、JAMA Network Openに掲載された研究で、現在のAI音声アシスタントは「質の低いCPR指示を非専門家に提供する可能性」を示している。チームはAI音声アシスタントとして、Alexa、Siri、Nest Mini、Cortanaとともに、大規模言語モデルであるChatGPTのCPR指示における品質を評価した。具体的には、各ツールに口頭、または文章でCPRに関する8つの回答を求め、救急医学専門医2名による評価を加えるというもの。回答のうち71パーセントが手の位置について、47パーセントが圧迫の深さについて、35パーセントが圧迫率について詳しく説明していた。一方、回答全体の半数近くはCPRとは無関係であり、「著しく不適切であった」と研究者らは述べている。また、音声アシスタントを使ったCPRの指示は、一般市民が適切な情報を見つけられなかったり、ケアの遅れにつながる可能性があることも浮き彫りにした。
バイスタンダーは例えば電話を介し、救急隊員からCPRの指示を受けることもできるが、必ずしも普遍的に利用可能なサービスではないこと、言語の壁があること、音質や通話品質の問題、心理的障壁、コスト、などが利用の制限要素となる。AI音声アシスタントは緊急時の有望な選択肢となるが、まだこれからのさらなる質的向上が必要な状況にあるとチームは結論付けている。
参照論文:
Quality of Layperson CPR Instructions From Artificial Intelligence Voice Assistants
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