毎年約1,500万人の早産児が生まれ、そのうち約100万人が死亡していると推定されており、新生児集中治療室(NICU)でのケアは非常に重要である。研究者らは、NICUの現場で使用され得るAIの研究の全体像を分析し、システマティックレビューを実施した。
Journal of Medical Internet Researchに掲載された論文によると、研究チームは6つのデータベースを用いて、2017年から2023年の間に発表されたNICU患者が対象となるAIの論文を検索した。その結果、24件の研究がレビュー対象となっている。このうち、NICU滞在中の死亡率に関する研究は4件、NICUの滞在期間予測に関する論文は2件特定された。本レビューが整理したAIの介入機会は4つで、①医療画像の進歩(例:未熟児網膜症における重症度評価や予後予測、脳拡散MRIを用いた運動予後の予測)、②データ駆動インサイトと予測モデル(滞在期間・重症度・死亡リスクなどの予測によるケア計画支援)、③疾患理解の深掘りとリスク層別化、④個別化された新生児ケアと介入、が挙げられた。一方で課題として、データの質と量(単施設・小規模・欠損、ノイズ)、臨床的解釈性と使い勝手(説明可能性や現場ワークフロー適合)、モデルの一般化と外部検証の不足(装置・施設・集団差による性能低下)、倫理・規制面(プライバシー、バイアス、責任の所在)などが指摘されている。
今回のシステマティックレビューにより、NICU分野におけるAIの応用が有望であることが示された。研究者らは「AIの活用により、診断精度の向上、早期治療の開始、臨床意思決定の改善、病態理解などが期待される一方で、克服すべき課題も多く存在する」と述べている。
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