インフルエンザ診療においては、初期段階で重症化リスクの高い患者を特定することが、入院の判断や抗ウイルス薬投与の適正化に直結する。しかし、発症初期は症状や検査所見が非特異的であるため、医師の経験に基づく判断にはばらつきが生じやすい。中国の研究チームは、江蘇省の87病院から収集した電子カルテ情報を用い、AIモデルを多施設前向き臨床試験で評価するためのプロトコールを策定し、その設計を報告した。
Frontiers in Public Healthに掲載された論文によると、本モデルは人口統計情報、臨床症状、血液検査値、画像検査を特徴量とする畳み込みニューラルネットワークを基盤とした深層学習モデルで構築されている。初期診察後に入力されたデータを解析し、約2時間以内にリスクスコアと主要な予測因子を医師用ダッシュボードに提示する。さらに、血液検査および画像検査の結果が追加されると再解析が行われ、段階的評価によりモデルの性能が検証される。主要評価指標はAUCであり、AI支援モデルによる重症例識別の正答率が評価される。
研究チームは、このAIモデルの導入により、医師単独の診断と比較してAUCが0.15ポイント以上向上し、重症インフルエンザの誤診率を32%低減できると予測している。本研究の意義は、AIモデルを単なる解析ツールにとどめず、臨床判断のフローに統合した点にある。今後、臨床研究で得られた知見を実臨床に応用し、インフルエンザ診療における意思決定支援に資することが期待される。
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