感染症後の回復評価は、COVID-19やインフルエンザなどの急性感染症において、通常の活動再開の適切な時期を判断するうえで重要な指標である。しかし従来は、患者自身が記録した症状報告に依存しており、主観的評価は記憶バイアスの影響を受けやすい。こうした課題を背景に、米国とイスラエルの合同研究チームは、COVID-19、インフルエンザ、A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus; GAS)感染症の回復過程を客観的に評価することを目的に、スマートウォッチ由来の生理学的データと参加者自身の自己申告による症状を比較する2年間の前向きコホート研究を実施し、その成果をThe Lancet Digital Healthに発表した。
本研究には合計4,795人が登録され、COVID‑19感染者2,742人、インフルエンザ531人、GAS334人が少なくとも1回感染を経験した。心拍数、活動量、睡眠パターンなどの生理データを取得し、自己申告の症状と比較したところ、自己申告では早期回復が示された一方、スマートウォッチデータでは生理的異常が長期間持続することが明らかとなった。COVID‑19では心拍数上昇や活動量低下が数週間から数か月続き、インフルエンザは比較的速やかにベースラインに復帰した。GASでは軽症例は自己申告とほぼ一致またはわずかに早く、中等症から重症例では数日遅れて回復する傾向がみられた。
本研究は、感染症の種類によって回復の軌跡が異なり、患者の自己申告による症状だけでは回復状況を過大評価しやすいことを示した。著者らは「今後は心拍変動などの指標を用いて、生理学的回復が通常の活動や運動再開に十分であるかを評価する必要がある」と指摘している。このようなアプローチは、感染後の通常活動再開の最適な時期の判断に役立ち、合併症リスクの低減や長期的な健康の促進につながる可能性がある。
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