医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例ResNetとMambaのハイブリッドで拓く新しい表面筋電図ジェスチャー認識

ResNetとMambaのハイブリッドで拓く新しい表面筋電図ジェスチャー認識

表面筋電図(sEMG)を用いたジェスチャー認識は、義手制御やヒューマンマシンインターフェースにおいて重要だが、信号の非定常性や個人差が大きな課題となっている。既存の深層学習モデルの中でもTransformerは計算コストが高く、従来の周波数変換を用いた画像化手法では、電極間の空間的なトポロジー(配置関係)が失われてしまう問題があった。これに対し、スペインのマドリード工科大学などの研究チームは、空間トポロジーを保持するヒートマップ表現と、計算効率の高い状態空間モデル(SSM)をベースにした「Mamba」を融合し、新たな認識フレームワーク「EMamba」を発表した。同研究はBiomedical Signal Processing and Controlに掲載されている。

本研究では、sEMG信号から時間領域の主要な特徴(二乗平均平方根、平均絶対値、標準偏差)を抽出し、電極の空間的配置を維持したまま2次元ヒートマップへと変換する手法を開発した。この画像を、局所的な空間的特徴を抽出するResNetと、線形の計算量で長期的な時間依存性を捉えるMambaベースのモジュール(SS2D)を組み合わせたハイブリッドモデルに入力して処理した。大規模データセット(Ninapro等)を用いた検証の結果、EMambaは最大87.66%の高い分類精度を達成し、従来のCNNやCNN+RNNモデルを有意に上回った。さらに、手や腕に欠損のある被験者に対するデータや、学習に含まれない未知の被験者を対象とした交差検証においても、高い汎用性と堅牢性を示している。

重要な点として、本手法は推論にかかる遅延が約1.70msと小さく、リアルタイム制御が求められる環境にも適している。今後は、実環境における長期的な安定性の検証や、義手制御およびリハビリテーションシステムへの実装に向けた、モデルの軽量化と最適化が進められる予定である。

参照論文:

EMamba: A Mamba-based framework for EMG gesture recognition via discriminative heatmap representations

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村上 遼
村上 遼
大阪大学大学院機械工学専攻 修士課程修了。ロボット技術とMEMS技術を融合した血液検査システムに関する研究を行う。外資系医療機器メーカーAにて臨床開発として勤務。外資系医療機器メーカーBにてビジネスデベロップメントとして新規事業開発に従事。現在、米ウースター工科大学 ロボティクス専攻 博士課程にて、医療ロボティクスおよび医療画像(光音響、超音波等)の研究に従事。
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