オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT大学)の研究チームは、糖尿病性網膜症の迅速診断を行うAIシステムを開発した。この網膜画像解析アルゴリズムは、糖尿病性網膜症の早期からみられる所見を自動で捉え、98%と高精度での診断を実現している。
RMIT大学の公表によると、このシステムは、糖尿病性網膜症による網膜内の損傷血管や浸出液を、画像から正確に捉えることができ、従来の糖尿病性網膜症の診断方法に比べ、より簡便で低コストでもあるという。研究を率いたDinesh Kant Kumar教授は、「僻地や発展途上国など、医療資源の乏しい環境においても、信頼性の高い診断システムを導入することができる」とし、成果の大きさを強調している。
糖尿病性網膜症は成人の失明原因のトップであり、初期には明確な自覚症状がないことから、定期的な眼科受診をしていない糖尿病患者においては進行期で見つかることも少なくない。英Verdictは、研究チームが、眼底カメラメーカーと共同して技術の更なる進化に取り組んでいることを報じており、今後の成果にも大きな期待がかかる。