てんかんへのAI利用

てんかんは人口の約1%が罹患する最も一般的な神経障害疾患の一つである。けいれんや意識消失など多様な発作を繰り返し、不安とリスクを伴いながら日々を過ごすケースも少なくない。神経疾患の電気生理学的性質はAI技術との親和性が高い領域と考えられてきたが、近年の活用例を紹介する。

米メディアPsychology Todayによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ発のスタートアップEmpaticaが開発したてんかん発作監視用スマートウォッチは、子どもの強直間代発作に対し、脳波を用いないデバイスとして初めてFDAの承認を受けたという。てんかん発作の発汗による体表の電導率変化をとらえる技術が組み込まれているとのこと。

また、Technology Networksによると、サウスカロライナ医科大学 (MUSC) の神経科医チームが、てんかん外科手術の予後予測に、拡散磁気共鳴画像(dMRI)からのディープラーニングで、従来の分類モデルを超える正確性を記録した。学術誌Epilepsia収載の同研究は、てんかん患者では一般的なdMRIを利用し追加検査を必要としない。抗けいれん薬に反応しにくい難治性てんかん患者は少なくない。生活の質の向上や、外科手術領域でもAIの役割は拡大してゆくだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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