子宮頸がんは20-40歳台の若年世代女性での罹患を特徴とする。性的接触などからヒトパピローマウイルス(HPV)が長期感染し、前がん病変から浸潤がんへ進展するとされ、検診による早期診断が重要となる。子宮頸部を観察するコルポスコピー(Colposcopy)の感度は50-70%程度で十分に高いとは言えず、精度向上が課題であった。
米メディアBloombergの報道によると、2019年5月22日、中国のテンセント社は医療用AIプラットフォームTencent Miyingでの、子宮頸がんのコルポスコピー用診断支援システムの提供開始を発表したという。中国は子宮頚がんの新規発症患者数が全世界の約20%を占め、疾患に対する負担が強い国とされ、検診の診断精度向上への期待度は高い。
子宮頸がんについては米国立衛生研究所(NIH)の画像診断AIを以前に紹介した。(過去記事)Tencent Miyingは肺・食道・大腸・乳がん、糖尿病性網膜症などでAI診断機能を実装し、強力な技術開発が進められている。日本では子宮頚がんワクチンをめぐる不安定な状況から検診とコルポスコピーの重要性が再認識されており、臨床現場へどのようにAIが定着するか興味深いところである。