Deep Learning アルゴリズムで院内心肺停止を予測

『院内での心肺停止』を予測する従来の指標、修正早期警告スコア(Modified Early Warning Score: MEWS)は英国で開発され、広く臨床現場での利用が進んできた。一方、感度に対する誤検出の割合が高いことが、実用上の問題点でもあった。

学術誌Journal of the American Heart Associationに収載の論文によると、従来の手法を大幅に上回る精度の心肺停止警告システムが、Deep Learningを用いて構築されたという。Deep learning-based Early Warning System(DEWS)と呼称され、院内心肺停止を発生14時間前に50%以上の精度で予見できるという。また、競合他システムと同程度の感度に設定した場合、誤検出のアラームは有意に減少していた。

同AIはシンプルな4つのバイタルサイン(収縮期血圧・心拍数・呼吸数・体温)を予測変数とする。したがって、測定などに際しての医学知識への依存度が低く、スタッフの職種を問わず直感的に使用できるため、様々な病院環境に適応する。「DEWSは実用的な精度で、重大イベントに備える十分な時間の猶予をスタッフに与えてくれる」と著者らは主張し普及を目指している。『路上の心肺停止を救うAI』(過去記事)と同様に発展が注目される。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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