路上の心停止患者を救うAIアルゴリズム

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スペインの多施設共同研究チームは、致死性不整脈を心電図波形から捉える新しいAIアルゴリズムを開発した。AEDへの搭載により、病院外での心停止症例に対し、より適切な除細動判定を行える可能性がある。

オープンアクセスジャーナル・PLoS ONEにて今週公開されたチームの論文によると、新しいアルゴリズムは従来の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)単独ではなく、長短期記憶(LSTM)ネットワークを複合させた深層学習アーキテクチャにより構築されたという。得られた識別器は従来の精度を大幅に上回っており、米国心臓協会(AHA)がAEDに求める「除細動実施のための正確性基準」を十分に満たしているとのこと。

病院外での心停止発生率の世界平均は、1年間で10万人あたり55例と必ずしも稀なものではない(参考論文)。先進国を中心に市街地へのAED普及が進んでいるが、そのデバイスは正確な心電図波形の評価と除細動判定を行えることが、自明の前提として置かれている。高い精度を求める同種のアルゴリズム開発は、今後も積極的に進んでいくに違いない。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。