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デンマーク Corti社 – 緊急通話から心肺停止 CPAを判定するAI

心肺停止(Cardiopulmonary arrest: CPA)の緊急通報で、バイスタンダー(bystander)と呼ばれる救急現場に居合わせた発見者・同伴者は、心肺停止の様子を落ち着いて正しくオペレーターに伝えられるだろうか。また、蘇生処置は速やかに開始されるだろうか。

世界経済フォーラム: The World Economic Forumの記事によると、デンマークのCorti社は、コペンハーゲンの公式緊急通話『112』で心肺停止判定AIを試験運用している。通話音声での病状に関する単語や特徴から、心肺停止の有無を識別するニューラルネットワークを構築した。オペレーター単独73%に比べ、AIのサポートにより90%以上の正確さで心肺停止を認識できたという。同システムは欧州の4つの都市に試験範囲を拡大する。

AIが通話の早期に心肺停止を検知すれば、一刻も早い蘇生処置をバイスタンダーに指示できる。システムの誤検知によるリスクに対しては、蘇生処置を躊躇するデメリットが上回ると考えるのが一般的だ。蘇生処置なしで経過した心肺停止は、社会復帰率が1分毎に7-10%程度、急速に低下するといわれる。欧州や米国と比較し社会復帰率の低さが課題とされる日本でも、公的インフラへのAI応用の参考例となるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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