熱傷(やけど)の診断と治療では、死んだ皮膚組織と正常な部分との境界を見極めることが重要となる。壊死した組織は十分に取り除き、皮膚移植がどれくらい必要になるか計算しなければならない。テキサス州ダラスを拠点とするSpectral MDは、AIで熱傷と創傷を画像評価するシステム『DeepView』を開発している。
VentureBeatが7月24日に報じたところによると、Spectral MDは『DeepView』の研究開発に、米国保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)から2700万ドルの助成を受けたと発表した。子どもの熱傷を対象とした臨床試験を進め、最大9200万ドルの追加資金を得る可能性がある。
DeepViewは、皮膚の画像において反射光の波長をAIアルゴリズムがIBM Cloud上で解析し、熱傷部位と正常組織をリアルタイムで判別する。従来の診療では熱傷面積の約30%が正しく診断されていないとする報告があり、DeepViewはその割合を5%まで減らせるという。その結果、皮膚移植のサイズを減らし、手術結果の改善と入院期間の短縮が期待されている。Spectral MDは巨額の助成を受け、「外傷による切断」「血流不足による壊死」「糖尿病の皮膚潰瘍」での臨床試験も強化すると表明し、この分野で圧倒的なリードを得ようとしている。