米国の公的医療保険制度であるメディケアとメディケイドの管理局(CMS)は、AIで医療を改善するアイディアを募る全米AIコンテストを開催している。バージニア大学(UVA)ヘルスデータサイエンスチームが提案する「再入院を減らすAIプロジェクト」が、300を超えるアイディアの中から絞られた25のプロジェクトに選出された。退院後早期の再入院は医療資源を圧迫する課題のひとつとして注目されている。
News Medicalが報じるところによると、UVAのチームはAIによってどの患者が退院後に再入院するかを予測するとともに、再入院を防ぐために患者個別の退院後の健康管理計画を提案することを目指している。UVAの病院では、全体の3%の患者によって退院後30日以内に再入院する件数の30%を占めることがわかっていた。保険請求と電子カルテからのデータ分析で、再入院を防ぐために対処可能ないくつかのリスク要因が特定されてきている。例として、予防ケアの社会制度を十分に活用していない、糖尿病などの慢性疾患を抱えている、医療リテラシー欠如による管理不十分、といった要因が挙がる。
UVAのデータサイエンティストBommae Kim博士は「私たちのプロジェクトの核となる考えは、介入可能な提案をすることにあります。例えば認知症で自身のケアが不十分な患者について、介護者と健康管理の選択肢について対話したり、患者を支援するための社会リソースを見つけたりすることが可能となるでしょう」と語っている。2020年2月までにUVAのチームはプロジェクトのアップデート版を、コンテスト主催者のCMSに提出し、2021年後半に100万ドルの賞金を獲得する7つのファイナリストへの選出を目指す。AIが健康管理の質を高めるとともに、医療コスト負担を削減する改革が期待されている。