世界最大級のバイオメディカル研究機関「Inserm: Institut national de la santé et de la recherche médicale」(フランス国立保健医学研究所)は約1万人の研究者を擁し、毎年12,000本以上の論文を発表している。同研究所はCOVID-19に対する取り組みの一環として、AI企業「Expert System」が提供する臨床研究支援ツールの導入を発表した。
Expert Systemのニュースリリースによると、Insermは医学研究支援AIツール「Clinical Research Navigator(CRN)」に6ヶ月の評価期間を設けて導入し、100名の研究者がこれを利用するという。CRNは1億件を超える文書と1200万件の臨床研究情報にアクセスし、単なるキーワードだけではなく、AIのナビゲートでコンセプトに基づく調査・分析結果を提供する。情報同士のつながりを明示し、深掘りとフィルタリングで情報を濃縮させ、研究活動をサポートする。
新型コロナウイルス感染症をめぐる研究成果は、日々追加され爆発的な情報量の増加をみている。査読前研究も多く含まれる玉石混交の状況で、研究者が真に価値ある有用な情報にたどり着くには相応の労力が要求される。コンテンツの高い関連性を高速で特定するというAIの真価を発揮しうる利用法は、今後も様々な形で私たちの前に実用ツールとして姿を見せてくるだろう。