画像診断AIスタートアップQure.aiが、胸部X線のAI診断システム「qXR」でインドの結核診断に取り組む様子を以前に紹介した(過去記事)。同社が展開する画像診断AIのラインナップでは頭部CT向けのツールも注目されている。
Qure.aiの6月30日付プレスリリースによると、頭部CTのAIツール「qER」で救命救急領域向けに4つの重大な異常を検出する機能で、米国FDAの承認取得を発表した。AIでトリアージされる4つの異常は、1.頭蓋内出血 2.マスエフェクト(血腫などによる脳組織の圧排効果) 3.ミッドラインシフト(脳組織の圧排で正中線が偏移する所見) 4.頭蓋骨骨折である。
qERの理論的背景は2018年にThe Lancetに掲載されており、そのディープラーニングアルゴリズムは広範な検証を経てきた。米国では年間7500万回以上のCTスキャンが行われ、1万人以上が救急外来ERから離れた7日以内に死亡しているといわれる。そういったなか、ERにおける診断時間短縮と精度向上に高品質なAIツールが求められている。業界初をうたう同時4機能、4-in-1のFDA承認は、患者の人生を変える貴重な診断プロセス短縮を救命現場にもたらすだろうか。