オーストラリア・シドニー大学が有するBrain and Mind Centreは、精神疾患および神経疾患の診断と治療に役立つAI技術の研究開発に精力的に取り組んでいる。多様な専門分野の研究者・臨床専門家・業界パートナーなどを結びつけ、学際的研究を積極的に推進する同センターは、精神神経学領域におけるAIの活用を先導する。
シドニー大学による8日付けニュースリリースによると、Brain and Mind Centreの主幹となる2つのプロジェクトは、政府から計700万ドルの研究助成を受けているという。プロジェクトの1つ目は若年者のメンタルヘルスケアをサポートするAI技術を開発するもので、介入の影響を定量化することで、治療導入に関する適切な臨床判断を導くデジタルツールの開発を目指す。他方は、多発性硬化症など重要な神経疾患の正確な診断のため、広範なAIシステム構築を進めるもの。ここでは医用画像の高度処理技術が大きな役割を果たしており、患者プライバシーとデータセキュリティを維持したまま、各ヘルスセクター内で完結する新しいAIネットワーク構築を推進する。
シドニー大学のDuncan Ivison教授は「我々センターの研究者たちは、重要な医学研究課題に取り組む最前線にいる。取り扱うプロジェクト群は、医学的専門性とAI技術の融合によってヘルスケアの将来に多大な貢献ができる」とする。