COVID-19のパンデミックは多くの医療機関において、利用可能なベッド数の変動やスタッフの不足、個人防護具や人工呼吸器の需要急増など、リソース分配に関する計画策定に大きな困難をもたらした。ほとんどの医療機関は医療崩壊を免れるための安全マージンを考慮し、リソースをストックする方向に動いたが、結果として待機的手術など生命維持の観点から優先度の低い処置は、大幅に実施が見送られることとなった。
米デューク大学などの研究チームは、42,199に及ぶ患者の電子カルテ記録を利用し、一般病床への入院期間・ICUへの入院期間・人工呼吸器の需要・退院状況などを予測する機械学習モデルの開発を行った。今週、JAMA Network Openから公表されたチームの研究論文によると、各予測モデルが十分な精度を有していることを確認したのち、単一のダッシュボードに統合したという。このツールは臨床的意思決定支援ツールとして機能するもので、「病院のリソース限界を超えないようにするため、最もリスクが高くリソース使用が多く見込まれる患者の特定」に役立つことが期待されている。
研究チームは本年6月、自施設にこのツールを実装している。単に実務目的のツール利用のみならず、データフロープロセスを高速化した上で、ユーザーがリスクモデルのパフォーマンスを直接評価できるようにも改変が加えられるなど、他施設への普及を見越した精度改善と機能強化を進めている。