医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIが予測した「バリシチニブのCOVID-19治療効果」を実証する最新研究

AIが予測した「バリシチニブのCOVID-19治療効果」を実証する最新研究

関節リウマチ治療薬の「Baricitinib: バリシチニブ(製品名オルミエント)」が、AI手法により新型コロナウイルス感染症の治療薬候補に挙げられていたことは以前に紹介した(過去記事)。このAIの予測を実証するものとして、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンとスウェーデンのカロリンスカ研究所のグループによる「バリシチニブがCOVID-19の罹患率と死亡率を低下させる」可能性を示した研究成果が学術誌 Science Advancesに発表された。

インペリアル・カレッジ・ロンドンのニュースリリースによると、同研究では「オルガノイド」と呼ばれる幹細胞の培養で形成されたミニチュア臓器によって肝臓の環境が再現され、バリシチニブのCOVID-19に対する効果が調べられた。結果、バリシチニブが炎症による臓器損傷を軽減し、ウイルスがヒト細胞内に侵入するのをブロックする作用機序が明らかになった。またCOVID-19が血小板の遺伝子活性を増加させ血栓を形成させることに対して、バリシチニブがその活性を低下させることも示された。これらのプロセスでバリシチニブ投与がCOVID-19からの生存率を上昇させていることが同研究から示唆されている。

共同執筆者であるカロリンスカ研究所のVolker Lauschke教授は「この研究はAIが予測していたことや、投与患者の症例報告から得られていた情報を確認するものです。バリシチニブが細胞レベルでどのように私たちをCOVID-19から守ってくれるのかに光を当てています。この手法は他のタイプの薬についても有益かそうでないかを理解し、COVID-19の治療法を特定することに役立つでしょう」と語った。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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