ポストコロナにおける遠隔医療に対する機運の高まりで、デジタル聴診器への注目度が増している。欧州を中心にシェア拡大をみせるポーランド発のAI聴診器「StethoMe」を以前に紹介したが(過去記事)、同製品は商社「丸文」が日本総代理店契約を12月1日に締結し、2021年の日本販売開始を予定して話題となった。同様の製品として、米国ではボルチモア拠点Sonavi Labs社のデジタル聴診器「Feelix」がFDA承認を取得して本年から米国内販売を開始している。
12月7日~11日に開催されている米国音響学会(Acoustical Society of America:ASA)のイベント「Acoustics Virtually Everywhere」の基調講演に、Sonavi LabsのCEOであるEllington West氏と、ジョンズホプキンス大学教授の James West氏が登壇している(同社ニュースリリース参照)。デジタル聴診器Feelixは聴診音のノイズキャンセリング機能を核とし、遠隔診療に適した無線接続などプラットフォームを整備している。さらに、異常聴診音の診断AIについてもFDAに追加申請を予定しているという。
Feelixはノイズキャンセリングによって人口密集地や騒音の多い診療所での使用や、慢性呼吸器疾患を抱える患者の自宅でのチェックを想定している。聴診音を遠隔でリアルタイムに共有する機能は、医療従事者がCOVID-19にさらされる機会を減らすのにも役立つと期待される。