関節リウマチは、関節の炎症と痛みを特徴とする慢性疾患で、骨の破壊と変形に伴う機能障害を引き起こす。関節リウマチの活動性や進行を予測するバイオマーカーとして、腸内細菌叢「マイクロバイオーム」が有効という仮説のもとに、遺伝子解析とAI技術を用いた研究が米メイヨークリニックで行われている。
メイヨークリニックのニュースリリースでは、学術誌 Genome Medicineに発表された同研究が紹介されている。研究チームでは、関節リウマチ患者32名の便を採取し、腸内細菌叢のプロファイルを解析した。その結果、臨床的に症状が改善した患者とそうでない患者との間で、腸内細菌叢の特徴が有意に異なることが観察された。また、関節リウマチが臨床的な改善を達成できるかどうか、深層学習モデルによって90%の精度で予測することができた。
関節リウマチに限らず、炎症性疾患や自己免疫疾患の多くに腸内細菌叢が関与していると考えられてきた。しかし、マイクロバイオームには食事を含む環境因子や遺伝因子など、多因子が複雑に影響するため、その関連抽出には、計算生物学の専門家と臨床医が強力なパートナーシップを築くことが欠かせない。メイヨークリニックの計算生物学者であるJaeyun Sung博士は「今回の研究成果から、腸内細菌叢を変化させることで関節リウマチの治療効果を高め得ることが考えられ、治療法を大きく変革する可能性が示された」と語っている。
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