AIおよびヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)の専門家が共同し、臨床医が診療にあたって「最も必要とする情報のみ」を表示することのできるEHR(電子健康記録)が設計された。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のニュースリリースでは、同大学とベス・イスラエル・ディーコネス医療センターが開発したこのシステムについて、従来型EHRとの対比で詳細を説明している。EHRは一般的に、過去情報を異なるページに保存し、処方歴や検査記録をアルファベット順または時系列で記載するため、臨床医は必要な情報を見つけるためにデータの検索を余儀なくされる。一方、このスマートEHRでは、医師の情報検索・思考パターンに近付け、診療に直接資する情報抽出の自動化を実現するというもの。具体的には、医師は現在の症状を評価する際、内服薬による影響を考え、現在の処方薬を意識的(あるいは無意識的)にレビューするが、同システムではこのような症状を引き起こし得る内服薬を自動的に抽出表示するなどができる。
研究の中心となっているMITの大学院生Luke Murray氏は「医師の思考プロセスに基づく情報抽出を自動化することで、病因の特定と治療計画の立案など、複雑で重要なプロセスに時間を割くことができるようにしたい」と述べる。なお、本研究成果は、来月オンライン開催されるAssociation for Computing Machinery’s Symposium on User Interface Software and Technologyにて公表される。
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