カナダのウォータールー大学の研究チームは、生体内の分子や薬の作用を予測する人工知能「Pattern to Knowledge」を開発した。このAIはP2Kと略され、今まで製薬に利用されていたAIよりも低コスト・短時間で、精確に化合物の動きを予測することができるようになるという。
Science Dailyによると、今までも同様の機能を持つソフトウェアは存在していたが、生体に関係する分子やタンパク質の動きがかなり複雑であるために、計算に多くの時間を要していた。P2Kは、単純な機械学習だけに頼るのではなく、深層学習を導入することで、生体を形成するタンパク質の挙動を従来のソフトより短時間で、また約30%精確に予測できるようになったという。さらに、クラウド上にあるデータを読み込むことで、新たにガン細胞の動きを予測したり、新薬がガン細胞に対してどのように作用するかを予測することも可能になるという。
American Laboratryによると、P2Kはまだ実験段階であるが、研究チームはオンライン版を研究者向けに公開しており、自由に化合物の分析をすることが可能になっている。共同開発者のアントニオ・スートゥー氏によると、生物医学研究者がこのAIシステムを研究に利用することで素早く結果を出すことができるようになり、将来の科学的発見に貢献するだろうということである。