カナダのトロントを拠点にバイオテクノロジーの研究をするCyclica社は、同社のAIを用いた研究技術を利用して、世界的な製薬企業であるバイエル社と共同研究を行うと発表した。アスピリンを世に送り出したことでも有名なバイエル社は、現在G4Aプログラムという革新的な研究を行う他企業とのマッチングプログラムを実施しており、今回の共同研究もそのプログラムの一環として行われるものである。
FINANCIAL POSTによると、Cyclica社は、本来は標的になっていない生体分子の部位に薬物が結合する「オフターゲット」効果を予測する「Ligand Express®」という技術を持っており、今回のバイエル社との研究では、このAIシステムを使った研究を行うという。副作用を引き起こす可能性もあるオフターゲット効果は、本来好ましくない場合が多いが、創薬においては未だ知られていなかった反応が発見されることで、新たな薬物の開発につながる場合もあり、創薬においては重要な反応として知られている。
Pharmaceutical Business Reviewの記事によると、Cyclia社のCEOであるNaheed Kurji氏は、世界的に活躍する研究者と共に仕事ができて非常に光栄だと述べた上で、バイエル社の研究者の豊富な経験と専門的な意見を参考に、 自社のAIシステムを強化していきたいと自信を見せている。