アメリカの製薬企業Insilico Medicine社は、AIによる創薬の研究環境を整え、マラリアの治療薬に関する研究を進めていることを明らかにした。マラリアは、主に熱帯・亜熱帯地域で確認される伝染病で、蚊の媒介によって感染し、高熱や頭痛など様々な症状が現れる。
TGHNによると、Insilico Medicine社が開発している治療薬は、マラリアの中でも熱帯熱マラリア原虫という種に対するもので、この種は熱帯地域で毎年50万人もの死者を出しているという。このマラリア原虫は、人間の体内に侵入したあと、FP2という酵素を用いて血液中のヘモグロビンを破壊することで、人体に様々な悪影響を及ぼす。今回AIの分析によってE64という物質にFP2の働きを阻害する効果が見つかったため、これによってヘモグロビンの破壊を食い止めることが可能になるという。
INDIAN EXPRESSによると、Insilici MedicineのCEOであるArtur Kadurin氏は、マラリア治療に関する喜ばしい研究結果を発表することができてうれしいと述べた上で、この研究によって何百万もの命を救うことができるかもしれないと自信を見せたという。マラリアには、新薬に対する耐性を身につけることで以前まで使用していた薬物の効果がなくなってしまうという問題があるが、AIによって効率的な創薬が可能になれば、この問題も解決するかもしれない。