中国の研究チームは、昏睡状態に陥った患者が今後どの程度回復するのかを、高精度で予測することができるAIシステムを開発した。中国国内では、すでに300症例以上においてこのシステムが採用されており、尊厳死を含む深刻な医学的判断を助けるツールとして期待を集めている。
米ニュースメディアQuartzの報道によると、研究チームは、植物状態または意識不明状態にある160名の患者の脳スキャン画像をアルゴリズムに学習させた、8年間かけて経過を追った。するとこのシステムは、意識不明の患者が1年以内に覚醒に至るかどうかを88%の確率で予測できたという。論文共著者のTianzi Jiang氏は、「昏睡に至る背景疾患は様々だが、このアルゴリズムは疾患を限定せずに高い予測力を持っている」とし、システムの汎用性の高さを強調する。
中国では、現在、50万人以上もの慢性的な意識障害患者がおり、さらに年間7万人以上のペースで患者が増加している。South China Morning Postは、研究者らのコメントとして「意識障害患者の急増は、家族・社会にとって大きな精神的・経済的負担となっている」と報じており、患者が回復する可能性を予測できると、治療法の選択や患者家族の意思決定において、大きな助けとなる可能性を指摘している。