Googleが立ち上げたバイオベンチャー・Verilyは、独自に開発した糖尿病性網膜症診断AIシステムの有効性検証を、インドの医療機関の協力を得て大規模に進めている。インドでは、総人口13億人に対して医師が100万人しかいない。貧弱な医療提供体制をAIによって改善できるかにも、大きな注目が集まる。
英The Guardianの報道によると、このAIシステムは、2016年からの実臨床での検証とアルゴリズム改善により、現在では97%を超える精度で糖尿病性網膜症を診断できるという。眼科専門医のRamasamy Kim氏は「人間の医師と同等の診断能力を持つばかりか、ごく早期の人目には分からない変化も捉えられる」と実用性を高く評価する。
糖尿病性網膜症は主たる失明原因の1つであるが、自然に軽快することはなく、早期発見・早期治療が非常に重要となる。したがって、医療体制が整わず受診機会が乏しい途上国においては、同疾患による失明は増加の一途をたどっている。米The Wall Street Journalは、インドでは失明後に来院するケースが後を絶たないことを指摘し、僻地でのスクリーニング施設設立の必要性も報じている。