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Googleによる新しい機械学習アプローチ ヘルスケアで開花

2017年春、Googleは自社のブログにひっそりと、機械学習における全く新しいアプローチを開発したことを公表した。Federated Learningと呼ばれたこのアプローチは、非常に斬新なアイデアであったにも関わらず、AIコミュニティからの反応は比較的冷めたものだった。しかし2019年の今、この技術はヘルスケア領域から熱い視線を浴びている。

Googleが当時報じたところによると、これまでの一般的な機械学習では、学習用データを単一のPCかデータセンターに集める必要があったが、新しいアプローチでは各デバイスにそれぞれデータを保管したままクラウドに格納することさえなく、特定のアルゴリズムを共同学習させることができるという。これはつまり、患者データのように極めて厳格な取り扱いを受ける情報を、非常に安全に学習モデルに取り込められることを意味している。

ヘルスケアにおけるAI開発の最も大きな障害の1つは、個人情報保護をめぐる法規制の存在である。施設横断的な巨大データベース構築は、AI先進国にとって喫緊の課題でもあるが、これを根本的に解決し得る技術が既に存在していたことになる。MIT Technology Reviewの報道では、Ramsesh Raskar MIT准教授の言葉として「人々は足の裏で砂が動いていることにも気付かなかった」と報じている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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