パリ開催のVivaTechは欧州最大級の技術展示イベントで、今年5月には12万4千人を集めた。大企業の傘下ブースに新興企業が展示し、人材や資金の循環と協調関係、いわゆるエコシステムをアピールする。
Medical Device Networkの記事では、Vivatech 2019出展企業のうち、SNSから医薬品の安全性を監視するDETEC’Tを開発したKap Code社を紹介している。パリ本拠の世界最大手製薬企業サノフィ Sanofiの傘下ブースで、同社は展示を行ったという。DETEC’Tのアルゴリズムは、SNSなど26のデータソースで12年間かけて追跡した2600万件のメッセージから得た、500種の医薬品に関する患者使用情報を元に構築されている。AIによる自然言語処理で患者が直面する副作用などを抽出、製薬会社に情報提供し早期解決の手助けを行う。
2011年フランスで糖尿病患者の減量薬として販売されたbenfluorex(商品名: Mediator)が、その副作用によって1000人規模の死亡者を出した事件を契機として、DETEC’Tは開発に乗り出された。現在は仏語と英語に対応し、独語とスペイン語への拡張に取り組んでいる。起業家を意味するアントレプレナー(Entrepreneur)は仏語が語源で、その精神を体現するVivaTechには今後も注目が集まるだろう。