国立台湾大学医学院附属病院は医療AI導入に積極的な姿勢を示している。スマートフォンアプリによる皮膚疾患診断の取り組み(過去記事)を以前に紹介した。他にもユニークな実用例が登場している。AI-SWAS(Smart Wound Assessment System)は手術後の傷を患者自身が自宅でスマートフォンで撮影し、状態をAIが判定、必要に応じて主治医と連絡を取るアプリである。
台湾大学のプレスリリースによると、アプリはAndroidプラットフォームで、3年の期間を経て、46名の患者と131枚の術後の創部写真をベースに開発された。AIアルゴリズムは、傷の治る過程が正常か異常か判断し、紅斑・炎症・壊死・感染を91%の精度で識別できるという。アプリ内には画像の明るさや色を調整するソフトウェアも組み込まれ、診断精度を助ける。皮膚のタトゥーを除外することにも成功した。
Taipei Timesには、同大学担当者インタビューと、アプリのデモンストレーションの様子が取材されている。医療スタッフにとっては、AIがセカンドオピニオンとなって診断の時間と労力を削減する。患者は傷の自己管理にタイムリーなアドバイスを受けながら、主治医とのチャンネルを維持し、通院の負担を軽減できる。アプリはiOS向けにも開発中で、手術以外のあらゆる創傷に対して機能を拡張する計画があるという。台湾大学の医療AIに対する先進的な動きについては今後も注目したい。