米国外科学会議2019(American College of Surgeons Clinical Congress 2019)において、「どの術後患者がICUでの集中治療を必要とするか」のトリアージで、AIが臨床医を上回る精度を示したとの研究結果が報告された。
Medical Device and Diagnostic Industryの報道によると、ニューヨーク大学の研究チームは、計102に及ぶ臨床指標を元にこの機械学習アルゴリズムを構築したという。臨床医を含めた前向き研究においては、外科医が正確にトリアージを行えた割合が70%、集中治療医が64%、麻酔科医が58%であったのに対し、AIは82%といずれをも上回っていたとのこと。
ニューヨーク大学外科のMarcovalerio Melis准教授によると、どの患者に術後の集中治療を要するかには固定基準がなく、手術チームの個別的な臨床判断に託されるという。そのため、通常はオーバートリアージとして、本来的にはICUに入院する必要のない患者も送られてしまうことが多くなる。ICUにおいては多剤耐性菌に曝されるリスクが増すことで、入院期間が延長するとの報告もある。医師の正確な医学的判断を補助するシステムとして、今後の発展にも期待は大きい。