「アラーム疲労問題」解決の糸口はAIの手に

過剰な、または誤った警報によって医療者を疲労させ、危機意識を鈍麻させる「アラーム疲労」は臨床現場の切実な問題の1つである。これまで講じられてきたあらゆる対策を超えて、AIがその根本解決を担う可能性がある。

アラーム疲労の解決に向けた取り組みは、古典的な「manual tweaks」つまり手動での調整が主体となってきた。誤警報を直接減らすための感度調整や、医療者の精神的摩耗を回避するためのアラーム音量・音質調整が相当する。現に米Boston Medical Centerでは、警報をより緊急性の高いケースでのみ作動するように変更したところ、89%のアラーム削減と看護師のより素早い対応に結びついた、との研究報告もある。manual tweaksにおける別のアプローチとしては、そもそもアラームの閾値を患者ごとに個別化してしまう方法もある。手間はかかるものの期待される効果は高く、Johns Hopkins Hospitalの例では、6つの臨床部門で1日あたり24-74%のアラーム削減に成功している。

では、99%のアラームに臨床的意義が乏しいとされる現代の医療現場において、AIはどういった役割を果たすことができるだろうか。その際たるものは「1%の本物を見落とさない目」であり、肉体的・精神的に過度なストレスに晒され続ける医療者に寄り添い、患者の深刻な病状変化などを見過ごさない「セーフティネットとして機能するAIシステム」が強く求められている。患者第一の過度なアラーム感度設定は、医療者の「アラーム疲労」を引き起こし、望ましくない結果をもたらしてきた現実もある。AIの潜在的有効性に対する期待は大きく、関連研究・開発は徐々に進んでいる(過去記事)。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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