Amazonは現在、コードネーム「Gesundheit」と呼ばれるプロジェクトにおいて、一般的な風邪ウイルスによる感染症の治療法開発を進めているという。
米CNBCの報道によると、Amazonはこの隠れプロジェクトにおいて、ライノウイルスをはじめとする一般的な風邪ウイルスによる感染症の治療薬・ワクチン開発に取り組んでいるという。2003年にミシガン大学より公表された著名な研究成果によると、米国において、一般的な感冒に伴う生産性の低下とそれによる経済的影響は年間400億ドルと推算され、これを完全にコントロールすることのメリットは計り知れない。
一方で、対症療法を除く、風邪ウイルスへの直接的な対抗手段の開発には複数の障壁がある。風邪の原因微生物の大多数はウイルスであるが、そもそも風邪ウイルスは200種類以上とも言われ、原因ウイルスの正確な特定が難しい。また代表的なウイルスであっても多くの型を有し、極めて早いスパンで変異を起こすため、感染に伴って(あるいはワクチン接種によって)得られた免疫も長期的には意味を持ちにくい。ここに、抗風邪ウイルス薬やワクチン開発の主たる難しさがある。
また同時に、風邪自体が数日から数週間の経過ではほぼ完全に治癒することも治療法開発を困難にする。つまり、放置しても重篤化せず治癒するものであるからこそ、その治療薬やワクチンには「いかなる副作用の存在も容認されにくい」ことになる。現実的にあらゆる側面で副作用を持たない治療法開発は極めて困難で、このことも長年科学者たちが風邪の対症療法以外の対抗手段を見出せない理由のひとつである。
Amazonが途方もなく大きなマーケットに目を向けていることは間違いない。積年の未解決課題を技術でクリアできるのか、期待は大きい。