新型コロナウイルス感染症に関連する研究・開発は急速に進み、新しい情報が得られない日はないほどになった。実臨床の中で通過する無数のデータポイントから、COVID-19患者がいつ増悪し集中治療を要するかを予測するAIモデルが実用されている。
米Epicは患者の容態悪化を捉える予測モデルを提供していたが、このほどCOVID-19患者における予測精度を高めたアップデートを実施している。このAIシステムでは、患者カルテから年齢・性別などの基本属性、バイタルサイン、各種検査結果を自動集積して単一のリスクスコアリングモデルに投入することによって、患者がどのタイミングで増悪するかを予測することができる。現在米国内21の医療機関によってシステムは運用され、16,000人以上に対するモデルの適用実績を持つ。
STAT Newsでは、EpicのAIモデルで「中等度リスク」と評価された入院患者の場合、実にその75%が最終的にICUに移送されたことを報じている。また、患者が人工呼吸器を必要とする40%以上のケースで、モデルは3時間以上前から高いリスクを示し医療者に警告を与えていたとのこと。増悪リスクを早期に捉えることは、重点観察の必要な患者の見極めに有効となるばかりでなく、周囲の協力施設も含めた事前の病床確保も可能にすることから、より効率的な地域医療提供体制の構築に資する可能性がある。