Additive Manufacturing(付加製造法)は従来の切削加工のような除去製造法とは全く異なる製造技術で、画期的なイノベーションを無数に生み出してきた。これは多数の医療問題に対処できる最新のテクノロジーとも見なされており、再生医療や人工臓器などの高度医療領域でも一定の有望な成果を示している。
ルーマニアの研究チームは、学術誌Journal of Polymers and the Environmentに投稿したレビュー論文の中で、生物医学分野における3Dプリンティング技術のトレンドを概説している。中でも高精度な薬物送達システムの構築における有効性が指摘されており、錠剤やカプセル、口腔内フィルム、創傷パッチなどの医薬品開発への応用も進んでいるという。特に近年では、当該領域での4Dプリンティングの利用拡大が顕著だ。4Dプリンティングは「環境からの入力に応じて形状変化できる造形物」を製造するもので、例としては「セラグリッパー」と呼ばれる熱応答式の薬剤溶出装置が挙げられる。セラグリッパーは消化管内で一定温度を超えた場合に作動するもので、体内での特定組織の捕捉とその部位での選択的な薬物の送達を実現する。
付加製造法では材料と処理技術に関連する情報が膨大となり、目標物の適切な解釈や材料選択、ビルド制御、欠陥検出などあらゆるシーンにAIの利用余地がある。また、3Dプリンティングが抱える数々の現実的な問題(遅い・不正確な作動・高コスト・材料の制限)にも、AIが解決策を与える可能性があり多方面からの研究開発が進んでいる。