医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例患者・医療者サポートへのAI活用事例Health Vector - リアルタイムトランスクリプションによる医師サポート

Health Vector – リアルタイムトランスクリプションによる医師サポート

診療時間外の文書化や膨大な診療録のレビューは、臨床医の燃え尽き症候群を助長する因子である。米マサチューセッツ州ニュートンに本拠を置くHealth Vectorは、診療中の会話をリアルタイムに書き起こすAIアプリを提供している。

Health Vector Clinical Transcriptionは、PC・スマートフォンで利用できるAIアプリで、診療中の会話へのリアルタイムトランスクリプション機能を持つほか、文書各部における臨床コンテンツを自動的にコード化することができる。生成されたトランスクリプトは、診療録にそのまま利用できるほか、患者ポータルから個別メッセージの送信、ケーススタディとしての医療者間共有、医療費請求、などへの活用が可能となる。同アプリは電子カルテシステムと既存の臨床ワークフローへの統合を前提とした設計がなされており、医師は診療中にメモを書き留めることなく、患者の話に注意を向けることができる。

Health Vectorは2017年に設立され、一貫して医師・患者サポートを目指したソリューションの提供を続ける。診断および治療へのAI利用は革新的な成果として大衆の目を集めやすいが、現存する医療提供体制を最適化する技術利用は、一見地味でありながら医療者の負担軽減・医療費削減の観点から直接的な効果が得られやすい。また同時に、臨床現場の特殊性からワークフローの各所に前時代的な手法が引き継がれているため、改善余地も多く新たなプレイヤーの参入が常に求められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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