結核は人類と共に長い歴史を持つが、いまだに世界の主たる死亡原因の1つとして存在し、その脅威が衰えることはない。年間1000万人が命を落とす結核は、「原因の定かでない治療失敗例」が一定数にみられることが大きな問題となっている。この結核治療の失敗例を事前予測するAI研究がパキスタンの研究チームから報告された。
学術誌 Tuberculosisにて公表されたチームの研究論文によると、feature selectionによって「結核治療の失敗と強く関連する特徴量」を探索したという。研究では、治療失敗がより顕著な6つの国(アゼルバイジャン・ベラルーシ・ジョージア・インド・モルドバ・ルーマニア)で収集された患者データベースを利用した。2種のアルゴリズム検証実験では、78-92%と高い識別精度を示し、結核治療の失敗例を有効に予測することができたとのこと。
現状の医療提供体制や保険制度、一般的な健康状態、ヘルスコンシャスに大きな差のある国々を一塊としてアルゴリズムを導いていることから、研究の限界は明確にあり、当該研究によって得られた成果をそのまま一般化することは難しい。一方で、「限定的な事前情報のみから結核治療の失敗を予測し得る」という事実は非常に示唆的で、各国での追試研究実施も期待される。