米国立衛生研究所(NIH)は、COVID-19の深刻な拡大に対処するため、医療画像へのAI利用を積極推進する野心的な取り組みを公表した。NIHのブランチであるNational Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering(NIBIB)が主導し、多施設・多領域共同によって革新的AIツールの導出を目指す。
NIHが5日行ったニュースリリースによると、COVID-19の早期発見と個別化治療を達成するAIツールを実現するため、Medical Imaging and Data Resource Center(MIDRC)を新たに立ち上げたという。MIDRCの主要な目的は、機械学習アルゴリズムを含む新しい診断技術の確立と、臨床現場へのその実装を主導し、医師が患者の治療を最適化することにあるとのこと。NIBIBのディレクターであるBruce J. Tromberg博士は「この重要な挑戦のため、アカデミアにおける医療画像やAIの専門家に加え、各種学会、産業、政府からもリーダー達を招き入れている」とする。
今回のプロジェクトでは、有効なAIの生成を助ける「COVID-19胸部画像の大規模リポジトリ」の構築が予定されている。医療画像は高度の個人情報に相当するため、研究利用であってもその収集には大きな制限があった。技術ネットワークに基づく高次元の倫理的配慮によって、COVID-19対策としてのAI開発は次のステージに進むこととなる。