英Oxford VRは、2017年にオックスフォード大学の臨床心理学分野で教授を務めるDaniel Freeman氏が設立したスタートアップで、VR技術を用いたメンタルヘルス向けのデジタル治療を提唱している。同社サービスはこのほど、UK Digital Experience Awards (DXA)のBest Use of Emerging Technology部門で金賞を受賞した。
Oxford VRが提供するのは、認知行動療法(CBT)に基づき社会不安の改善に取り組むプログラム。患者はVRヘッドセットを装着した上で、症状を誘発し得る仮想的状況に置かれる。セッション中は難易度に応じて段階分けされたエクササイズをこなすことで、社会的相互作用への不安などを克服するのに役立つという。
Oxford VRが実際の臨床試験として最初に取り組んだのは「VRを用いた高所恐怖症の改善プログラム」だった。この試験ではVRによるデジタル治療が一定の効果を示したのみでなく、医療機関における人員配置問題を改善する可能性を示唆しており、研究成果は権威ある学術誌 The Lancetから公表されるなど大きな話題を呼んだ。