医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究ハーバード大学 - 医療的介入が寿命にどう影響するか?

ハーバード大学 – 医療的介入が寿命にどう影響するか?

ハーバード大学の研究チームは、マウスの健康生存期間を推定するAIシステムを構築した。これはヒトにおける「医療的介入がどの程度健康寿命延伸に影響するか」を明らかにするための基礎的研究となるため、大きな注目を集めている。

NeuralNature Communicationsに収載されたチームの研究論文を紹介している。ハーバードメディカルスクールが主導した本研究では、マウスにおけるフレイル(frailty: 「高齢者の虚弱」を指すが、医学用語としての適訳は見つからず、日本老年医学会は現在「フレイル」との呼称を提唱している)を一生のうちに追跡した最初の研究だという。特定の薬剤や食事が老化プロセスを遅らせるかを確認するためには、マウスであっても通常は最大3年程度が必要となる。研究チームは60匹のマウスが死ぬまでを追跡し、歩行能力や背中の屈曲、聴力と言った非侵襲的検査を継続的に行い、フレイルに基づいてマウスの生物学的年齢を検出するモデルと、マウスの寿命そのものを予測するモデルを構築した。これらにより、2ヶ月以内の観察で各アウトカムの高精度な推定が可能となるため、医療的介入がどう機能するかをテストするツールとして利用でき、研究スピードの加速が期待できる。

ヒトの健康に影響を与える因子は、実験室におけるマウスと異なりはるかに多様であるため、即時的な応用はできない。一方で研究者らは、本研究をベースに「ヒトの健康スパンと寿命延伸に寄与する医学的介入」を迅速かつ正確に予測できるシステムの開発を見据えている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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