ゲーミフィケーションは、ゲーム要素を取り入れることでユーザーの行動変容やパフォーマンス向上を狙うもの。近年では医療分野においても発展の余地が模索されている。スペインのコンプルテンセ大学とサラゴサ大学の共同研究チームは、がん患者における心身の健康度モニタリングへのゲーミフィケーション応用に努めている。
Journal of Healthcare Engineeringに掲載されたチームの研究論文によると、Close2Uと名付けられたこのアプリケーションでは、がん患者に対して気分や疼痛部位に関する一連の質問に答えさせ、モチベーション向上を狙ったアドバイスや歌などが報酬として与えられるゲーミフィケーション機能がテストされている。疼痛の強弱測定においては「非常にひどい」と「非常に良い」を結ぶ直線上をマークする、疼痛部位の測定においては身体画像に該当領域をマークするなど、視覚的なスケーリングを取り込みゲーム性を高めている。また、患者間の報酬交換機能も備え、コミュニティにおける緩やかなコミュニケーションも実現する。
EurekAlertの取材に対し、研究を率いたGarcía Magariño氏は「このアプリにより、楽しみながら適切な健康モニタリングと相互支援を提供することができる。ただし、私たちのリソースと潜在的なユーザーの関心が重要であるため、いつ製品化されるかは分からない」とする。一方でスマート家電やスマートウォッチなどのデバイスに搭載することを計画するなど、野心的な一面ものぞかせている。