生後初期の慢性的な栄養欠乏によって、その後年齢相応の身体および認知機能の発達が得られなくなるものを「発育阻害(stunting)」と呼ぶ。1億を超える未就学児が発育阻害に曝されるが、その90%以上がアジア・アフリカの子どもたちとなる。豪キャンベラ大学などの研究チームは、バングラデシュにおける小児発育阻害のリスク因子探索に、機械学習アプローチを用いた研究を行っている。
Informatics for Health and Social Careからオンライン公開されたチームの研究論文によると、2014年のバングラデシュにおける健康調査データを利用して、5歳未満の小児における発育阻害を予測する機械学習モデルの構築、およびリスク因子の探索を行ったという。結果から、バングラデシュにおける発育阻害への高い説明力を持つリスク因子は順に、小児の年齢、家庭の経済状況、母親の学歴、妊娠期間、父親の学歴、世帯規模、初産時の母親の年齢などが明らかにされている。
著者らは「研究成果によって、バングラデシュにおける発育阻害を理解するためには、社会経済的因子に加え、栄養および環境要因の観察が重要であることを明らかにした」としており、事態改善を目指した取り組み・政策立案への示唆を本研究知見が提供する事実を強調している。
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