EARN – 転移性乳がんのドライバー遺伝子を予測する機械学習アルゴリズム

原発性乳がんの診断と予後に関連するマーカーは種々同定されているが、がんの攻撃性に影響を与えるドライバー遺伝子はその理解が限定的である。イラン・パヤメヌール大学の研究チームは、アンサンブル学習により、転移性乳がんのドライバー遺伝子を評価する機械学習アルゴリズムを構築し、新たな意思決定戦略を提唱している。

BMC Medical Genomicsから7日公開されたチームの研究論文によると、450の転移性乳がんサンプルからなる体細胞変異データを利用し、このアンサンブル分類器を導いたという。EARNと名付けられたこのアルゴリズムは、人工ニューラルネットワーク・ランダムフォレスト・非線形ベクターマシンのアンサンブルであり、転移性乳がんにおけるドライバー遺伝子候補を明らかにする。研究チームはこのうち、上位100の遺伝子に対して経路濃縮分析を用いることで、転移性乳がんの新しい遺伝子セットパネルを提案している。

転位性乳がんの結果を、浸潤性乳管がんの原発腫瘍サンプルにおける出力と比較したところ、ROC-AUCは99.79%にも達していた。また、これらの結果は個別の分類器を活用する場合よりも有意に優れたパフォーマンスを示した。著者らは「アンサンブルアプローチを利用したこの研究成果は、全ゲノム・エクソームシーケンスの必要性を排除するような、コンパクトなターゲットパネルの設計に役立つ」としている。

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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。