BreastPathQ Challenge – 乳がん画像分析で病理医を上回る識別精度を達成

BreastPathQ Challengeは乳房組織の顕微画像を分析し、腫瘍細胞の形態特徴から悪性度や治療効果などを識別する自動化アプローチを開発するもの。世界12カ国から39チームを集めたこのグランドチャレンジにおいて、合計100のアルゴリズムが開発および検証された。

術前薬物療法を意味するネオアジュバント療法は、乳房全摘術の適応となるような大きな腫瘍の縮小によって乳房部分切除を可能にするほか、抗がん剤の効果を確認する、転移性がんの病状コントロールを行う、などの重要な利用用途を持つ。現状、専門医はネオアジュバント療法の効果を医用画像から手動で予測し、その導入の有無を判断している。AIの導入は比較的主観的とされるこのプロセスの効率と信頼性を高める可能性があり、自動化への期待が大きかった。

BreastPathQ Challengeでは、参加チームのほとんどは単一のAIアーキテクチャに絞ることなく、複数のアルゴリズムをアンサンブルして使用していたことが大きな特徴であった。なかでも最高のパフォーマンスを示したアルゴリズムにおいては、病理学者のスコアを有意に上回ったことが確認されている。全体傾向として、アルゴリズムは人間にとっても識別の容易な画像ではより高精度に機能し、識別の困難な画像ではその精度がやや低下している事実を認めた。

このグランドチャレンジの結果は「乳がんの治療方針策定にAIが統合される未来は遠くない」という結論を妥当に支持している。本成果はJournal of Medical Imagingから8日、オープンアクセスの研究論文として公開されているので、関心のある読者は参照のこと。

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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。