加齢は白内障や緑内障、加齢黄斑変性など、種々の眼疾患における主要な危険因子となる。加齢に伴う器質的変化は、眼のほとんど全ての構造で観察されるが、同年代においても明らかな個体差が存在しており、これは「眼の加齢」を評価するための有用なバイオマーカーが必要であることを示唆している。中国・天津医科大学などの研究チームは、前眼部形態から加齢を予測する機械学習モデルの構築に取り組んでいる。
Journal of Biomedical Informaticsにこのほど掲載されたチームの研究論文によると、ペンタカムと呼ばれるスリットスキャン式角膜トポグラフィー装置によって得られた画像から、角膜形態の特徴に基づく年齢予測モデルを開発したという。6.3万人を超える患者データベースを利用し、276の形態的特徴量からニューラルネットワーク・ラッソ回帰・XGBoostと3つの異なる分類器をトレーニングした。結果、最高のパフォーマンスを示す年齢予測モデルでは、検証セットにおける平均絶対誤差(MAE)として3.89年と高い予測精度を実現した。さらに100名からなる外部コホートにおける検証でも、MAEで3.4年と一定の汎化性能が確認されている。
研究チームは「前眼部形態が、眼の加齢を評価するための非侵襲的指標として有効である可能性」を強調しており、眼疾患予防を前提としたリスク評価、スクリーニングと早期介入、病勢モニタリングなどへの活用が期待されている。
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