Acerが見据えるヘルスケアマーケット

Acerは台湾に本拠を置くPCメーカーで、世界シェア上位を維持する有力企業だ。過去には世界的なPCの販売低迷に伴う深刻な経営危機を迎えたこともあったが、2020年以降のコロナ禍においてPCの出荷台数は世界的に増加し、Acerも例外ではなく堅調な伸びを記録した。

Acerは近年、ヘルスケアセクターへの関心を強めている。2018年に子会社として設立したAcer Healthcareでは、医療AIに特化したプロダクト開発を進めており、2020年には台湾食品薬物管理局(TFDA)で初となる眼科用画像診断AIとしてのプログラム医療機器の認証に至った。糖尿病性網膜症を識別するこのAIソリューションは現在、台湾の5つの医療センターと主要な診療所群で導入され、実臨床を強力に支援している。さらに同製品はインドネシアでのライセンスも取得しており、グローバル展開の加速を狙っている。

また、医療者向けに抗菌材料で作られたモニターやキーボード、マウス、ノートPCを展開するなど、ヘルスケアマーケットへの強い関心を隠さない。OECD諸国において、対GDP比で平均10%強を占めるヘルスケアマーケットは、同社の次期成長戦略の要として注視されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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