医療の効率化と質的向上を目指し、AIを含むあらゆるテクノロジーが臨床現場に取り入れられているが、医療従事者が「週の半分はテクノロジーに対する不満を自覚し、これが倦怠感に直結」している事実がスタンフォード大学の研究チームによって明らかにされた。
Journal of Medical Internet Researchから6日公開された研究論文は、米ミシガン州に所在する31の病院における医療従事者対象の観察研究成果をまとめたもの。安全性やコミュニケーション、運用の信頼性、エンゲージメントなどの観点から、ワークライフインテグレーションと精神的な倦怠感を測定した。多施設データとしての階層構造を考慮した混合効果モデルを利用し、テクノロジーに対する不満と精神的倦怠感の関連性等を解析している。結果、15,505人の有効回答のうち、5,065人(32.7%)が「少なくとも週に3~5日はテクノロジーに対する欲求不満を経験する」としており、他の交絡因子を調整しても「テクノロジーに対する不満の増加が、精神的倦怠感を有意に強めている」事実が明らかにされた。
研究チームは「エンドユーザーの利用状況を適切に考慮していないシステム設計や、十分なトレーニング機会の与えられていない新技術に対して、医療従事者はフラストレーションを感じやすい」とした上で、医療従事者の不満を増加させないテクノロジー開発方針とその導入方法を取ることで、医療者の燃え尽き症候群を抑制する効果的な施策になり得る事実を指摘する。
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