ボディマップに沿って報告された痛みの分布が、痛みの質や強さのみならず、3ヶ月後のアウトカムにも関連していることを米ピッツバーグ大学の研究チームが明らかにした。研究成果はオープンアクセスジャーナルのPLOS ONEから公開されている。
本研究論文によるとチームは、2016年から2019年にかけて7つのペインクリニックを受診した患者2万名強のデータを解析し、この成果を導いている。全ての患者に対し、自身の疼痛部位を図面上で指し示させ、体表面74箇所に分類した。一般的なクラスタリング手法である階層的クラスタリング(hierarchical clustering)を用いたところ、疼痛分布は9つのサブグループに層別することでき、これらによって医学的特性や疼痛強度、疼痛の質、アウトカムの差異がみられていた。具体的には「首・肩」のグループにおける疼痛強度は「首・肩・腰」のグループより小さく、最も疼痛強度が高いサブグループは広い疼痛範囲を持っており、これは身体機能低下・不安・抑うつ・睡眠障害との独立した関連を示した。さらに3ヶ月後のフォローアップ調査では、いくつかのサブグループに疼痛と身体機能の改善がみられたが、最も高頻度な改善を示したのは「腹部」(49%)で、逆に「首・肩・腰」では37%の改善にとどまっていた。
研究チームは「痛みの分布が疼痛管理の個別化に重要な役割を果たす可能性がある」とした上で、慢性疼痛の身体的分布を「どのように伝えるか」がその後の疼痛および身体転帰を強力に予測し得る事実を強調する。主観的要素の大きい疼痛において、その表現型にフォーカスしたユニークな研究成果が、医学的知識体系に新たなエビデンスを加えた。
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